(第21回)今年、優雅に舞うチョウトンボを見ましたか

14-1青紫色の蝶のように幅広い羽根を持つ「チョウトンボ」は、他のトンボとは異色の存在だ。

光の加減で羽根が黒やら紫やらに見えて、非常に美しく、飛び方も優雅である。そして縄張りの意思表示か、田んぼの区画内を行ったり来たり飽きずに飛び続ける。警戒心が強いせいか、近くに寄って来ないし、止まりそうでなかなか稲穂には止まってくれない。それでも夕方になると、疲れるのだろうか、たまにカメラに収まるべく田んぼの中央部ではあるが羽根を休めてくれる。

平成5、6年頃には大門下調整池から物木方面に向かった田んぼに数多く舞っていた。生まれて初めて見るトンボで、その時からフアンになった。しかし、翌年には、全くその姿を見ることはなかった。機会あるごとにチョウトンボを求めて近辺を探してみたが、多く生息しているのは「別所」地区で、習志野カントリークラブの裏手の田んぼに、気持ちよさそうに舞っていた。また、近いところでは宗甫で、やはり田んぼの上だ。

もう、小林、物木辺りでは出会うことはないのかと諦めていたら、今年の8月上旬に一匹、偶然に見つけた。大エノキの直ぐ近くの田んぼの上を優雅に舞っていた。

トンボの生態にもその年ごとに変化が出ている。今年は「オニヤンマ」が異常に多く、20年間この近辺を歩き回っていて初めての経験である。物木辺りを5キロ程度歩くと、途中で10匹は遭遇する。それも目の前を横切るように飛ぶので帽子で、掬うと簡単に採れる。何となく無防備に、人に慣れてきてるような感じである。男っぽく恐そうな「オニヤンマ」には気の毒だが、是非とも女性らしく絵になる「チョウトンボ」にはまた沢山、この地区に戻ってきて欲しいと願っている。

小林近辺でも増えるトンボもいれば、絶滅に向かうトンボもいる。生物多様性保全のために、まずは、恵まれた里山の自然を守っていきたいものだ。[下田]

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