太極拳シリーズ(第2話)

太極拳の一番の思い出

58歳で太極拳を始めて20年、現在78歳になりましたが、時々誰の歳かなと思うことがあります。

20年もやっていると、色んな思い出がありますが、一番の思い出は2010年に開催された「ゆめ半島千葉国体」の開会式として、当時の千葉マリンスタジアムで太極拳を披露したことです。

開会式にでられる団体は前年の2009年12月に千葉県の募集に応募して、各種8団体が選出されました。太極拳としては小生(印西太極拳)が所属する無拳無意求千葉会が選出されました。

千葉国体ポスター(2009年12月)

2010年3月31日に出場決定の知らせが届き、9月25日の本番までの練習開始です。通常太極拳は室内で行うことが多いのですが、今回は海に近い「千葉ロッテスタジアム」で行います。室内との違いは2つあります。1つ目は室内は長方形をしているのに対し、スタジアムは円形に近い形で、かつ広い空間です。そのような中では進む方向が分からなくなることが判りました。2つ目は、海に近いスタジアムでは風の心配があります。太極拳は片足でたつ動作が多いのでふらつくことが予想されます。案の定、開会式は強い風が吹きました。

上述した問題点を克服する為、主に屋外での練習を月に2回の頻度で約6ケ月間、雨の日も風の強い日も、7~8月の酷暑の中でも継続しました。小学校の運動場とか成田の総合運動場を借りながら朝9時から午后5時までひっきりなしの練習でした。12年も前ですから、皆さん若かったのですね。熱中症にもかからず、皆さんやりとげました。今やろうと言われても、とてもできません。物事にはタイミングが重要だと、この原稿を書きながら感じています。

さあ。本番です。298名の参加者です。
本番前日、台風接近の大雨で開催が心配されました。当日の朝になっても依然強い雨風で、これはどうなるのだろうと思っていたところ、開会式直前に厚い雲を引き裂きながら奇跡のような太陽の光がぱっと差し込んできました。皆「やったー」と小さく歓声をあげました。マリンスタジアムに吹き付ける強風も見方にして表演服をなびかせながらきれいに揃った演技ができました。みごとに長い間の練習の成果が実った瞬間でした。あちこちで自然と歓声の声があがっていました。

総合司会のテリー伊藤さんも「マイケルの曲と太極拳のコラボに感動!」と叫んでいました。この時の感動と光景は今でも鮮やかによみがえります。

千葉マリンスタジアム

T.K記